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時計の歴史

 
       
   

 上野公園の桜は満開です。日本人にとって桜の花は特別な花だと思います。単純に綺麗だし咲く時期が丁度年度変わりになります。新入学や新入社員、転勤や配置換え等、皆さんそれぞれ色んな思い出が花びらと共に蘇えるじゃありませんか。それと“さくら”って馬肉のことなんですよ! 私は生まれも育ちも埼玉なのであまり食べませんが地域によってはとてもポピュラーなお肉だそうです。前に書いたことがありますが桜の花の頃になると“さくら鍋”をたべたいな〜と思います。三の輪寄りになるのかな“中江”という店があります。一度行ってみたらいいですよ。なかなか風情があります。少し贅沢な金額になるかも知れませんが…
  おかげさまで、この連載もだいぶ反響を戴くようになりました。メールを戴いたりわざわざお店に来て戴いたり。少し前に書いたスピードマスターについての話を読んで買いに来て戴いた方も何人かいらっしゃいます。ありがとうございます。機械式時計(手巻・自動巻)、クォーツの違いや時計の歴史について教えて下さいと言うメールを戴きました。リクエストにお答えして今回は時計の歴史についてお話したいと思います。
  最初の時計は何だったのでしょうか? もともと日時計が始まりだったと言われています。人は生理的な周期として太陽が出ている時に活動して沈むと眠る。そういう生活をしていました。それが人にとってベストな生き方なんでしょうね。そこから太陽を仰いでその位置を確認しその影の長さで太陽の位置を測ることを思いつき日陰棒を発明しました。これは一日のうちでどのくらい太陽が傾いたかを影の長さで計る日時計でした。ただ夏と冬では一日の長さも違いますし太陽の影の長さも異なります。また測る場所によって相違も出ます。そこからも文字盤を備えるようになり影と地球の軸とがなす角度を測るようになりました。紀元前5世紀頃と言われています。日時計は太陽が出ていないと役にたちません。そこで次に水時計が発明されました。はじめの水時計は底に穴を開けた器に水を注ぎ込んだものです。注いだ水は穴から少しずつ流れ出ます。器に目盛が刻んであり水面が下降して行くことにより時刻を知ったのです。水時計も発展して行きます。滴り流れた水を別の器に貯めその水面の上昇に合わせてウキが上昇する仕掛けを作りその仕掛けの示す目盛で時刻を知りました。日本でも「大化の改新645年」で有名な中大兄皇子が水時計「漏刻」(ろうこく)を作らせたと言われています。水時計は気温や水温、水圧などの影響を受けます。夜間、夏と冬の違いでも高い精度は維持できませんでした。そこから水の代わりに細かい砂を使った砂時計が発明されました。贅沢な砂時計としては砂の替りにダイヤモンド、エメラルド、ルビー、サファイヤを入れたものがあります。ただ、これは精度は期待できません。当店にはWGのケースにルビーを入れた砂時計があります。ディスプレイではなく販売用として。欲しい方は価格のご相談にお乗りします。ワイングラスでも傾けながら緩やかに流れ落ちるルビーの輝きに酔いしれて下さい。それから火時計が発明されました。「燃焼時計」と言うのが正しいようですが、私は火時計と言う表現の方が好きです。ものを燃やして、その燃える速さで時間の経過を計る火にはランプ時計、ロウソク時計、線香時計、火縄時計などがあります。私が好きな火時計があります。時計台になっています。文字盤を12等分し、それぞれギリシャ神話12宮の星座の絵が書いてあります。それはサンクチュアリにあります。ちなみに私は魚座(ピュスケス)です。では次に機械式時計へと話を進めて生きましょう
  機械式時計がいつ誰によって発明されたのかは定かではありません。13世紀のころと言われています。初期の機械式時計は「重錘時計」でした。これは構造上高い場所に設置されました。当時の高い建物は教会の尖塔や域郭などでした。最初の機械式時計は「塔時計」と呼ばれているものになるでしょう。塔時計は鐘が取り付けられていました。それにより時刻を人々に知らせたのです。機械式時計は塔時計から小型化への道を歩んで行きます。まず室内に置くことができる置き時計へ発展して行きます。14世紀半ば頃のゼンマイの発明により加速度的に進んで行きます。戦乱の続く時代でしたので軍事戦略の為に時計を持ち運ぶ必要がありました。初めは大きく重く携帯時計としてはとても懐中時計と呼べるものではありませんでした。18〜19世紀頃になり小型化が進み機械式時計は塔時計から置き時計そして懐中時計へと進んで行きます。そしてフランスにひとりの天才が誕生します。アブラアン・ルイ・ブレゲ、「時計の進歩を200年進めた天才」今の時計に使われているものは殆どブレゲの発明と言っても過言ではありません。「ブレゲの再来」と言う呼び名は時計師にとって最大の賛辞になります。※ブレゲについては前に書いています。バックナンバーを見てください。皆さんは時計といえば腕時計を思い浮かべるはずです。ヴァシュロンコンスタンタン、パテックフィリプ、ジラールペルゴなど歴史のあるブランドは懐中時計からスタートしているのです。最初の腕時計はジラールペルゴが軍用に作ったものと言われています。腕時計そのものが認知されるようになったのはカルティエの“サントス”からです。※これもバックナンバーを見てください。長い時を過ごし時計は日時計から腕時計へとたどり着いたのです。機械式時計の構造は手巻き式が土台になります。人の手でリューズを回して主ゼンマイを巻き上げる。その主ゼンマイの動力は輪列を伝わって伝達されます。脱進・調速機の働きで時計の針は規則正しく動くのです。口で言うと簡単ですが多くの歯車がかみ合って針が動くのです。そこに機械式時計の魅力があるのです。手巻き式から道は広がって行きます。ローターが回転して主ゼンマイを巻くのが自動巻きです。時計の針は2針から始まります。3針あるいはスモールセコンド、カレンダー、ムーンフェイズ、パワーリザーブ、クロノグラフ、永久カレンダー、トゥールビョン、ミニッツリピーターと広がります。色々な時計を想い浮かべてワクワクしちゃいますね!
  クォーツはどうでしょう。はっきり言って安値で正確で故障も少ないのがクォーツです。クォーツにはクォーツの魅力があります。プロジェクトXでも取り上げられたことがあります。感動もんでしたよ! 機械式時計は人の手が掛かっています。クォーツはオートメーションのロボットに作られています。今の車のエンジンと手巻き式時計のムーブメント、それを車のエンジンと同じ大きさで作りました。さあ、どちらが精密にできているでしょう。ごめんなさい。比べてしまって。そのくらい違います。車のエンジンです。意外と思う方もいると思います。車のエンジンはコンピュータ制御のロボットがなければ作れません。機械式時計は人の手で組み上げられていきます。私は機械式とクォーツとそのくらい違うもんだと思っています。アールデコとアールヌーボー位違います。(言ってて意味がわかんないよ!) インターネットの広がりで時代はどんどんと変わっていきます。そんな時代だから人の手の暖かさを感じる機械式時計に引かれるのでしょうか? 数は少ないかも知れませんが魅力ある機械式時計を揃えるようにしていきます。私の好みで! お店にもいらして下さい。よろしくお願いします。次回もお楽しみに …

 

 
         

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